札幌市の世帯年収は21大都市で最下位?収入・金融資産・生活費を全国主要都市と比較【2026年版】

札幌大通公園とテレビ塔を背景に札幌市の世帯年収・金融資産・生活費を紹介するアイキャッチ画像 暮らし

「札幌は家賃が比較的安く、暮らしやすい街」

そんなイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。

私も札幌にたびたび訪れることが、東京などと比べて住宅にかかる費用は抑えやすいと感じることがあります。

ところが、2026年8月に公表された総務省「令和6年全国家計構造調査」を見ると、少し気になる数字がありました。

札幌市の1世帯当たり年間収入は475万3千円。

政令指定都市20市と東京都区部を合わせた「21大都市」で比較すると、最も低い水準となっています。

さらに金融資産残高についても札幌市は低く、トップの横浜市とは約1,000万円もの差があります。

では、

「札幌は収入が低いから暮らしにくい街なのか?」

というと、話はそれほど単純ではありません。

収入だけではなく、住宅費や物価、冬の暖房費など、実際に暮らすために必要なお金まで含めて考える必要があるからです。

今回は総務省などの公的統計をもとに、札幌市の収入と資産、そして生活コストについて考えてみます。

※この記事では総務省「令和6年(2024年)全国家計構造調査」などの公表資料を参考にしています。


札幌市の1世帯当たり年間収入は475万3千円

総務省の全国家計構造調査は、家計の消費、所得、資産、負債などを総合的に調べる大規模な統計調査です。

2024年に実施された調査結果が2026年8月28日に公表されました。

その結果、札幌市の1世帯当たり年間収入は、

475万3千円

となりました。

政令指定都市20市と東京都区部を合わせた21大都市で比較すると、札幌市は最下位です。

「北海道最大の都市なのだから、もう少し高いのでは?」

と思った人もいるかもしれません。

実は札幌市の年間収入が大都市の中で低い傾向は、今回突然現れたものではありません。

前回2019年の全国家計構造調査でも、札幌市の1世帯当たり年間収入は453万6千円で、21大都市中20位でした。

つまり札幌市は以前から、大都市の中では世帯収入が比較的低い地域だったことが分かります。

一方、2019年の453万6千円から今回の475万3千円へ数字自体は増えています。

単純比較には注意が必要ですが、「最下位」という順位だけを見るのではなく、こうした変化も合わせて見ることが大切でしょう。

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金融資産でも札幌市は低い水準

さらに気になるのが金融資産です。

金融資産には、預貯金のほか、生命保険、有価証券などが含まれます。

今回の調査では札幌市の金融資産残高も21大都市で最も低く、最も多い横浜市とは約1,000万円の差がありました。

1,000万円という数字を見ると、かなり大きな差に感じます。

こちらも以前から同様の傾向があります。

2019年調査では札幌市の1世帯当たり金融資産残高は984万7千円で21大都市中20位でした。

当時最も多かった千葉市は1,880万2千円で、札幌市との差は約895万円ありました。

つまり、札幌市は「現在の収入」だけでなく、「これまでに形成された金融資産」についても他の大都市より少ない傾向がみられます。

ただし、金融資産の額は収入だけで決まるわけではありません。

世帯主の年齢や家族構成、持ち家の有無、住宅ローン、退職金、これまでの貯蓄期間などによっても大きく変わります。

そのため、

「札幌市民は貯金をしないから金融資産が少ない」

などと単純に考えることはできません。


なぜ札幌市の世帯収入は低いのか

では、なぜ札幌市の収入は全国の主要都市と比べて低いのでしょうか。

一つの背景として考えられるのが、札幌市の産業構造です。

札幌は北海道の行政・経済・観光の中心都市ですが、東京や名古屋などとは産業の構成が大きく異なります。

小売、飲食、宿泊、医療・福祉をはじめとした第三次産業が大きな割合を占めています。

一方、名古屋圏のように大規模な製造業が集積している都市とは事情が異なります。

もちろん「サービス業だから賃金が低い」と一括りにすることはできません。

しかし、都市ごとの産業構造や企業の集積の違いが、地域全体の所得水準に影響している可能性は考えられます。


「札幌は生活費が安い」は本当なのか?

ここで気になるのが、

「札幌は収入は低いけれど、生活費も安いから問題ないのでは?」

という点です。

確かに札幌は、東京などと比べると住宅費を抑えやすいというメリットがあります。

しかし、「札幌は何でも安い」と考えるのは少し違います。

総務省の2024年「消費者物価地域差指数」では、全国平均を100とした場合、札幌市の総合指数は101.7でした。

つまり、物価全体では全国平均をやや上回っています。

さらに「家賃を除く総合」は102.7、「食料」は103.4でした。

意外に思われるかもしれません。

札幌は住宅費については比較的抑えやすくても、食料品など日常生活に必要なものまで全国より安いとは限らないのです。


札幌ならではの「冬の生活費」も忘れられない

札幌の生活費を考える場合、全国の都市とは違う大きな要素があります。

冬です。

北海道では暖房なしで冬を過ごすことはできません。

灯油、ガス、電気など暖房に使うエネルギーの費用がかかります。

さらに車を所有していれば、

  • 冬タイヤ
  • タイヤ交換
  • 除雪用品
  • 冬用ワイパー
  • 車の暖房
  • 駐車場の除雪

など、雪国ならではの出費もあります。

戸建住宅なら除雪の負担も無視できません。

札幌は東京などと比べて家賃や住宅価格を抑えやすい一方で、こうした**「冬のコスト」**が存在します。

そのため住宅費だけを比較して「札幌は生活費が安い」と結論づけるのも難しいところです。


大雪による交通への影響も札幌ならでは

お金として直接見えにくいコストもあります。

札幌では毎年のように大雪があります。

特に短期間に大量の雪が降ると、JRやバス、航空便などに運休や遅れが発生することがあります。

物流が遅れたり、通勤・通学に時間がかかったりすることもあります。

除雪にも大きな費用が必要です。

雪は北海道観光に欠かせない大きな魅力でもありますが、都市経済という視点では負担となる面もあります。

札幌の暮らしや経済を考えるときには、こうした積雪都市ならではの条件も無視できません。


北海道新幹線の札幌延伸も大幅に遅れる見通し

札幌経済の今後を考えるうえでもう一つ注目したいのが、北海道新幹線です。

北海道新幹線の新函館北斗―札幌間は、当初2030年度末の完成・開業が予定されていました。

しかし工事では予期しない自然条件などさまざまな問題が発生し、2024年には2030年度末の完成・開業が「極めて困難」とされました。

その後、2025年3月の国土交通省の有識者会議では、

「おおむね2038年度末頃」

の完成・開業が見込まれるとされました。

さらに大きなリスクが発生した場合には、数年単位で遅れる可能性も示されています。

札幌市も、新幹線開業の遅れによって交通、まちづくり、観光、企業誘致などへの経済効果が現れる時期が先送りされることを懸念しています。

北海道と本州を結ぶ交通網の強化は、札幌経済にとって長期的に重要なテーマになりそうです。


それでも「札幌は暮らしにくい」とは限らない

ここまで読むと、

「札幌って結構厳しいのでは?」

と思うかもしれません。

しかし、今回の数字だけで札幌が暮らしにくい都市だと判断するのも早いと思います。

生活の豊かさは年収だけでは決まらないからです。

例えば年収700万円でも住宅費に年間200万円以上かかる世帯と、年収500万円で住宅費が年間100万円程度の世帯では、自由に使えるお金の差は年収差ほど大きくない可能性があります。

また札幌には、

地下鉄を中心とした公共交通網があること、自然が身近にあること、北海道内最大の都市として医療・商業施設が集中していることなど、大都市としての利便性があります。

住宅費と都市機能のバランスは、札幌の魅力の一つでしょう。

だからこそ大切なのは、

「年収が高い都市=豊かな都市」

と単純に考えないことだと思います。


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札幌市の収入は今後どうなる?

札幌市は北海道最大の人口を抱える都市です。

観光客も多く、再開発も進められています。

一方で、人口減少や人手不足、産業構造、北海道新幹線の札幌延伸の遅れなど課題もあります。

今後重要になるのは、単に物価や住宅費が安い都市を目指すことではなく、

「札幌で働けば十分な収入を得られる」

という環境をどう作っていくかではないでしょうか。

収入が増えれば消費も増え、地域の企業にもお金が回ります。

その意味では今回の「21大都市で年間収入が最も低い」という結果は、札幌経済について考える一つの材料になりそうです。


札幌市の世帯収入が他の大都市より低いとしても、生活費も安ければ実際の暮らしやすさは変わってくるのではないでしょうか。
そこで、札幌市の家賃や物価、食料品、冬の光熱費を東京・横浜・大阪・福岡と比較してみました。 ↓

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まとめ|「年収」だけでは札幌の暮らしは判断できない

総務省の令和6年全国家計構造調査では、札幌市の1世帯当たり年間収入は475万3千円となり、21大都市で最も低い水準でした。

金融資産についても低い水準となっています。

これは札幌市が抱える課題の一つといえるでしょう。

ただし、私たちの暮らしを考える場合、年収だけを比較しても十分ではありません。

収入 − 税金・社会保険料 − 住宅費 − 食費 − 光熱費 − その他の生活費

最終的にどれだけのお金が残るのか。

そして、そのお金でどのような暮らしができるのか。

こちらの方が生活実感に近いのではないでしょうか。

札幌には比較的住宅費を抑えやすいというメリットがある一方、暖房費など雪国特有の負担もあります。

「札幌は収入が低い」

という一つの数字から始めてみると、住宅、物価、産業、交通、雪など、札幌という街のさまざまな特徴が見えてきます。

私自身、今回のデータを調べてみて、単純に「収入が低い」「生活費が安い」という二つの言葉だけでは札幌の暮らしは説明できないと感じました。

大切なのは、収入と支出の両方を見ること。

札幌がこれから「稼げる街」と「暮らしやすい街」の両方を実現できるのか、今後も注目していきたいと思います。

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