賃貸マンションやアパートを借りるとき、家賃と同じくらい気になるのが「初期費用」ではないでしょうか。
「家賃7万円の部屋なら、最初に7万円くらい用意すればいいのでは?」
と思っていると、実際に不動産会社から見積もりを出してもらって驚くことがあります。
賃貸住宅を借りる際には、家賃だけではなく、敷金、仲介手数料、前家賃、保証会社の保証料、火災保険料など、さまざまなお金が必要になることがあるからです。
場合によっては家賃の数か月分に相当するまとまったお金を用意しなければなりません。
そこで今回は、
「賃貸の初期費用って、結局いくら必要なの?」
という疑問について、難しい不動産用語はなるべく使わず、これから部屋を借りる方に知っておいてほしいポイントをわかりやすく解説します。
※この記事は2026年9月時点の制度・情報をもとにしています。実際に必要となる費用や金額は、地域・物件・不動産会社・契約内容によって異なります。
賃貸の「初期費用」とは?
賃貸の初期費用とは、マンションやアパートなどを借りる際、契約から入居までに必要になる費用の総称です。
代表的なものには次のような費用があります。
- 敷金
- 礼金
- 仲介手数料
- 前家賃
- 共益費・管理費
- 家賃保証会社の保証料
- 火災保険料
- 鍵交換費用
- クリーニング費用など
- 引っ越し費用
ただし、これらすべてが必ず必要になるわけではありません。
「敷金なし」「礼金なし」「仲介手数料無料」といった物件もあります。
国土交通省も、賃貸住宅への入居時には敷金・礼金・保証金などが必要となる場合があるため、契約前に費用の内容をよく確認するよう案内しています。
賃貸の初期費用はいくらかかる?
では、一番気になる「結局いくら必要なのか」を考えてみましょう。
賃貸の初期費用は物件によってかなり違うため、
「家賃○か月分なら必ず大丈夫」
とは言い切れません。
ただ、部屋を探し始める段階では、家賃だけではなく数か月分程度のまとまった初期費用が必要になる可能性があると考えて、余裕を持って資金を準備しておくと安心です。
たとえば家賃7万円の物件でも、
「敷金なし・仲介手数料半額」
という物件と、
「敷金1か月・礼金1か月・仲介手数料1か月程度」
という物件では、契約時に必要になる金額が大きく違います。
そのため、物件情報に書かれている家賃だけを見て予算を決めないことが重要です。

初期費用① 敷金
敷金とは簡単にいえば、部屋を借りるときに大家さんへ預けておくお金です。
たとえば家賃7万円で「敷金1か月」と書かれていれば、
敷金=7万円
となります。
敷金は、家賃の滞納や借主の不注意による部屋の損傷などに備えるためのお金です。
何も問題がなければ、退去後に返還されるのが基本的な考え方です。
ただし、未払い家賃や借主が負担すべき原状回復費用などがある場合には、敷金から差し引かれることがあります。
そのため、
敷金=最初に支払ったら戻ってこないお金
ではありません。
反対に、
敷金=必ず全額戻ってくるお金
とも限らないので注意しましょう。
初期費用②地域や物件によっては「礼金」が必要になる場合があります。
礼金は、文字どおり大家さんに対して支払うお金で、一般的には敷金のように退去時に返還されるものではありません。
たとえば、
家賃7万円・礼金1か月
なら7万円です。
ただし、礼金の有無には地域差や物件差があります。
礼金になじみの薄い地域もありますし、現在では「礼金なし」の物件も珍しくありません。
そのため、「賃貸を借りれば必ず礼金が必要」と考える必要はありません。
物件ごとの条件を確認しましょう。
初期費用③ 仲介手数料
仲介手数料とは、物件を紹介して契約まで仲介してくれた不動産会社に支払う報酬です。
賃貸借の仲介では、不動産会社が貸主と借主の双方から受け取れる仲介手数料の合計は、原則として家賃1か月分+消費税(賃料の1.1倍)以内です。
さらに居住用建物の場合、一方から受け取れる金額は原則として家賃0.5か月分+消費税(0.55倍)以内ですが、仲介を依頼する際に承諾している場合には例外があります。
たとえば家賃7万円なら、
0.55か月分=3万8,500円
1.1か月分=7万7,000円
です。
「仲介手数料は必ず家賃1か月分」と決まっているわけではありません。
仲介手数料無料や0.5か月分程度としている物件・不動産会社もあるため、申し込み前に確認しておきましょう。
賃貸の仲介手数料はいくら?わかりやすく解説 ↓

初期費用④ 前家賃
前家賃とは、入居後の家賃をあらかじめ支払っておくものです。
たとえば4月1日から入居する場合、契約時に4月分の家賃を支払う、といったケースがあります。
また、月の途中から入居する場合は、その月の家賃を日割りで計算することもあります。
たとえば家賃6万円の部屋に4月10日から入居する場合、「4月10日から月末までの日割り家賃で大丈夫ですよ」となるケースです。
さらに物件や契約のタイミングによっては、貸主側との相談で入居日や家賃発生日について柔軟に対応してもらえることもあります。
ただし、「月の途中から入居すれば必ず日割り家賃になる」「希望した日から家賃を払えばよい」というわけではありません。 家賃の発生日や日割り計算の方法は、物件や契約条件によって異なります。
また、契約時期によっては日割り家賃だけでなく、翌月分の家賃も契約時にまとめて支払うケースがあります。
そのため、初期費用を確認するときには、
「○月10日に入居したいのですが、家賃はいつから発生しますか?」
「初月は日割りになりますか?」
と不動産会社に聞いてみるとよいでしょう。
入居日を数日調整することで初期費用が変わることもありますので、入居日を決める前に確認しておくことをおすすめします。
初期費用⑤ 家賃保証会社の保証料
最近の賃貸住宅では、家賃保証会社への加入が契約条件になっている物件もあります。
家賃保証会社は、借主が家賃を滞納した場合などに、契約内容に応じて貸主への立替払いなどを行う会社です。
利用する場合は「保証料」が必要になります。
保証料の金額や支払い方法は保証会社・プランによって異なり、
- 契約時に初回保証料を支払う
- 毎年更新料を支払う
- 毎月保証料を支払う
などさまざまです。
したがって、
「初回はいくらか」だけではなく、「入居後も保証料がかかるのか」
まで確認しておきましょう。
初期費用⑥ 火災保険料
賃貸契約では、火災保険などへの加入を求められることがあります。
名称は「火災保険」でも、火災だけではなく水漏れなどによる損害や、契約内容によっては家財の損害、借家人賠償責任などを補償するものがあります。
保険料は補償内容や契約期間によって異なります。
金額だけを見るのではなく、
「何が補償される保険なのか」
を確認しておくことも大切です。
初期費用⑦ 鍵交換費用
前の入居者が使用していた鍵から新しい鍵へ交換するため、鍵交換費用が設定されている物件があります。
鍵の種類によって費用は変わります。
一般的な鍵だけではなく、ディンプルキーやカードキー、電子錠などを採用している物件もあるため、一律に「○円」とはいえません。
契約時の見積書に「鍵交換費用」と書かれていたら、金額だけでなく交換が必須なのか、どのような鍵なのかも確認してみましょう。
初期費用⑧ クリーニング費用など
物件によっては、
「室内清掃料」
「ハウスクリーニング料」
「水廻り消毒料」
など、さまざまな名称の費用が設定されていることがあります。
また、退去時のクリーニング費用について特約が設けられている場合もあります。
国土交通省も、鍵交換費用やルームクリーニング費用の負担について、契約前に特約の内容を確認するよう案内しています。
ここで大切なのは、
見積書に書かれている費用を、よく分からないまま支払わないことです。
知らない項目があったら、
「これは何のための費用ですか?」
「必ず必要な費用ですか?」
と契約前に確認しましょう。
家賃7万円なら初期費用はいくら?実際に計算してみよう
分かりやすく、家賃7万円の物件を例に考えてみます。
たとえば次のような契約条件だったとします。
| 項目 | 金額の例 |
|---|---|
| 敷金1か月 | 70,000円 |
| 仲介手数料1.1か月分 | 77,000円 |
| 前家賃1か月 | 70,000円 |
| 保証会社初回保証料 | 35,000円 |
| 火災保険料 | 20,000円 |
| 鍵交換費用 | 20,000円 |
| 合計 | 292,000円 |
※あくまで説明用の一例です。実際の金額・項目は物件や契約内容によって異なります。
家賃7万円でも、この例では契約時に約29万円必要になります。
さらに礼金や日割り家賃、その他の費用が加われば、30万円を超える可能性もあります。
逆に、
敷金なし+仲介手数料無料
などの物件なら、初期費用を大きく抑えられる可能性があります。
だからこそ、物件を探すときは「家賃7万円」だけを見るのではなく、
「入居までに全部でいくら必要なのか?」
を見ることが重要なのです。
「敷金・礼金ゼロ」なら初期費用は安い?
「敷金ゼロ・礼金ゼロ!」
という物件を見ると、かなりお得に感じます。
実際、契約時に必要な金額を抑えられる可能性はあります。
ただし、
敷金・礼金ゼロ=すべての初期費用が安い
とは限りません。
仲介手数料、保証料、保険料、クリーニング費用などが別途必要になる可能性があるからです。
また、敷金がない場合でも、退去時に借主が負担すべき原状回復費用などが発生すれば、別途支払いが必要になることがあります。
「ゼロ」という言葉だけで判断せず、最終的な支払総額と契約条件を確認することが大切です。
賃貸の初期費用を安くする7つの方法
初期費用は物件選びによってかなり変わります。
少しでも抑えたい場合は、次のような方法を検討してみましょう。
① 敷金の少ない物件を探す
敷金なし、または敷金が少ない物件なら契約時の負担を抑えられます。
ただし、退去時の費用負担については契約書をよく確認しましょう。
② 礼金なしの物件を探す
礼金がある地域では、「礼金なし」の物件を選ぶだけでも初期費用が変わります。
③ 仲介手数料が安い物件を探す
仲介手数料0.5か月程度や無料の物件を探す方法があります。
家賃が高いほど、その差も大きくなります。
④ フリーレント物件を探す
一定期間の家賃が無料になる「フリーレント」が付いた物件もあります。
ただし、短期間で解約した場合の違約金などが設定されていることがありますので、条件を確認しましょう。
⑤ 初期費用の見積もりを必ず確認する
物件を申し込む前に、
「この物件に入居するまでの費用を全部含めた見積もりをください」
とお願いしてみましょう。
⑥ 不明なオプション費用を確認する
見積書に知らないサービスや費用が入っていたら、内容や契約上必要なものかどうかを確認しましょう。
⑦ 家賃だけではなく「初期費用総額」で比較する
これが一番大切です。
家賃6万8,000円の物件より家賃7万円の物件のほうが、初期費用を含めると負担が少ないケースも考えられます。
目先の家賃だけではなく、契約時に必要な総額と入居後の費用の両方を比較しましょう。
初期費用の見積書をもらったら、ここをチェック!
不動産会社から見積書をもらったら、金額だけを見て終わりにせず、一つずつ項目を確認しましょう。
特に確認したいのは、
「この費用は誰に、何のために支払うものなのか?」
ということです。
敷金なのか、仲介手数料なのか、保証会社への保証料なのか。
あるいは清掃料や鍵交換費用なのか。
そして、
「契約時だけ支払うのか、それとも毎年・毎月必要なのか」
も確認しておくと安心です。
国土交通省も、賃貸住宅のトラブルを防ぐため、契約書に署名する前に入居時・更新時の費用や契約内容を十分確認することが重要だとしています。
賃貸の初期費用についてよくある質問
Q. 家賃7万円なら、いくら用意すればいいですか?
物件によって大きく異なります。
敷金・礼金・仲介手数料の有無、保証会社、前家賃、保険料などによって変わるため、「家賃7万円なら必ず○万円」とは言えません。
余裕を持って資金を準備し、気になる物件が見つかったら契約前に初期費用の見積もりを出してもらうことをおすすめします。
Q. 敷金は戻ってきますか?
敷金は大家さんに預ける性質のお金です。
未払い家賃や借主が負担すべき損害などがなければ返還されるのが基本ですが、借主が負担すべき費用がある場合には差し引かれることがあります。
Q. 仲介手数料は必ず家賃1か月分ですか?
いいえ。
居住用賃貸では借主など一方から受け取れる仲介手数料は原則として家賃0.55か月分以内(税込)ですが、仲介を依頼する際に承諾している場合には例外があります。
また、仲介手数料を0.5か月程度や無料としているケースもあります。
Q. 保証会社を利用すれば連帯保証人は不要ですか?
物件や保証会社の審査・契約条件によって異なります。
保証会社を利用していても別途緊急連絡先などを求められる場合がありますので、不動産会社に確認しましょう。
Q. 初期費用は値引きできますか?
すべての費用を値引きできるわけではありません。
費用によって支払先や性質が違うからです。
ただし、仲介手数料や賃貸条件などについて相談できるケースはあります。
「初期費用をできるだけ抑えたいのですが、相談できる部分はありますか?」
と丁寧に聞いてみるのも一つの方法です。
まとめ|賃貸は「家賃」だけではなく「初期費用の総額」で考えよう
賃貸マンションやアパートを借りるときには、家賃以外にもさまざまな費用がかかります。
代表的なのは、
敷金・仲介手数料・前家賃・保証会社の保証料・火災保険料・鍵交換費用・クリーニング費用などです。
さらに地域や物件によっては礼金が必要になることもあります。
大切なのは、
「家賃○万円だから、この部屋は安い」
と家賃だけで判断しないことです。
同じ家賃7万円の物件でも、敷金や仲介手数料、保証料などの条件によって、入居時に必要な金額は大きく変わります。
気になる部屋が見つかったら、契約を決める前に、
「この部屋に入居するまでに、全部でいくら必要ですか?」
と確認してみましょう。
そして見積書をもらったら、分からない費用をそのままにせず、一つずつ確認することが大切です。
初期費用をきちんと把握しておけば、「こんなにお金がかかるとは思わなかった」という失敗を防ぎやすくなります。
賃貸住宅は、長ければ何年も暮らす大切な住まいです。
家賃だけではなく、初期費用・毎月の支払い・更新時の費用まで含めて、無理なく暮らせる物件を選んでいきましょう。

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