住宅ローンを組んだときは、
「この金額なら毎月払っていける」
と思っていたはずなのに、金利や物価が上がり、以前より返済を重く感じるようになった方もいるのではないでしょうか。
特に変動金利で住宅ローンを組んでいる場合、これまで長く続いてきた低金利を前提に返済計画を立てていた方も少なくありません。
ところが、金利を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。
2026年9月には、長期金利の指標となる10年物国債の利回りが一時3%に達し、約30年ぶりの高い水準となったことが報じられました。
住宅ローンを返済している人にとって、金利上昇は決して他人事ではありません。
さらに50代・60代になると、住宅ローンだけではなく、定年や収入の減少、物価高、老後資金などについても考える必要があります。
「今のところ何とか払えているから大丈夫」
そう思っていても、無理を重ねて生活そのものが苦しくなってしまっては大変です。
住宅ローンの返済が厳しくなった場合、自宅を売却する以外にも検討できる方法があります。
この記事では、住宅ローンの金利上昇によって返済が苦しくなったとき、どのような対策が考えられるのかを7つに分けてわかりやすく解説します。
住宅ローンの金利が上がるとどうなる?
住宅ローンには、大きく分けて「固定金利」と「変動金利」があります。
固定金利の場合、決められた期間については基本的に金利が変わりません。
一方、変動金利は市場金利などの動きによって適用金利が見直されるため、金利が上昇すれば利息の負担が増える可能性があります。
ただし、
「金利が上がったら、翌月からすぐに毎月の返済額が大幅に増える」
とは限りません。
変動金利・元利均等返済の住宅ローンの中には、金利が変わっても返済額を5年間変えない「5年ルール」や、返済額を見直す際も以前の125%を上限とする「125%ルール」を採用している商品があります。
注意したいのは、これらは金利上昇そのものをなくしてくれる制度ではないことです。
毎月の返済額が変わらなくても、その中で利息の割合が増え、元金が以前ほど減らなくなることがあります。
また、こうしたルールがない住宅ローンもあります。
まずは自分の住宅ローンがどのような契約になっているのか確認することが大切です。
住宅ローンの返済が苦しくなったときの7つの対策
対策① まず「住宅ローンにいくら払っているか」を確認する
最初に行いたいのは、現在の状況を正確に把握することです。
確認しておきたいのは、
・住宅ローンの残高
・現在の適用金利
・固定金利か変動金利か
・残りの返済期間
・毎月の返済額
・ボーナス返済額
・金利が見直される時期
などです。
そして住宅ローンだけを見るのではなく、毎月の収入と生活費も一緒に確認してみましょう。
「住宅ローンは払えているから問題ない」
と思っていても、そのために貯金を毎月取り崩していたり、食費や医療費などを無理に削っていたりするのであれば、家計全体としては余裕がなくなっている可能性があります。
まずは数字にして現状を知る。
ここが住宅ローン対策の第一歩です。
対策② 返済が苦しくなる前に金融機関へ相談する
非常に大切なのが、
「払えなくなってからではなく、払えているうちに相談する」
ことです。
「銀行に住宅ローンが苦しいなんて相談したら、家を取り上げられるのでは?」
と不安に感じる方もいるかもしれません。
しかし、返済が難しくなりそうな事情がある場合には、まず住宅ローンを借りている金融機関へ相談することが重要です。
状況によっては返済期間や毎月の返済額などについて、返済条件の変更を相談できる場合があります。
実際に住宅金融支援機構でも、返済に困っている利用者を対象として、返済期間の延長や一定期間の返済額の減額、ボーナス返済の見直しなどの返済方法変更メニューを用意しています。
もちろん、希望すれば必ず認められるわけではなく審査があります。
それでも、何も相談せず延滞してしまうより、早い段階で相談することが大切です。
対策③ 返済期間や返済条件の変更を検討する
毎月10万円の返済が苦しくても、返済額を一定期間抑えることができれば生活を立て直せる人もいます。
そこで金融機関と相談したいのが、住宅ローンの返済条件の変更、いわゆる「リスケジュール」です。
たとえば、
・返済期間を延長する
・一定期間、毎月の返済額を減らす
・ボーナス返済を見直す
・一定期間、元金の返済負担を抑える
といった方法が考えられます。
ただし、毎月の負担を軽くするために返済期間を延ばせば、その分だけ利息を支払う期間が長くなり、最終的な総返済額が増えることがあります。
つまり、
「毎月の返済額が減る=住宅ローンそのものが安くなる」
ということではありません。
現在の生活を立て直すための時間を確保する方法の一つとして考えることが大切です。
対策④ 住宅ローンの借り換えを検討する
現在より条件の良い住宅ローンが見つかれば、別の金融機関への「借り換え」によって負担を減らせる可能性があります。
ただし、金利が上昇している時期だからこそ、単純に表示されている金利だけを比べないようにしましょう。
住宅ローンの借り換えには、
・事務手数料
・登記関係の費用
・司法書士への報酬
・その他の諸費用
などが必要になる場合があります。
金利が少し下がっても、借り換え費用を含めるとかえってメリットが小さいケースもあります。
「金利が低い銀行を見つけたから借り換えよう」
ではなく、
諸費用を含めて最終的にいくら負担が減るのか
を確認してから判断しましょう。

対策⑤ 繰り上げ返済は「手元のお金」を残して考える
金利が上がってくると、
「貯金を使って住宅ローンを繰り上げ返済したほうがいいのでは?」
と考える方もいるでしょう。
確かに、繰り上げ返済によって元金を減らせば、将来支払う利息を減らせる可能性があります。
ただし、特に50代・60代では注意が必要です。
住宅ローンを減らすために貯金の大部分を使ってしまうと、
・病気やケガ
・住宅設備の故障
・自動車の買い替え
・介護費用
・収入の減少
など、突然大きなお金が必要になったときに対応できなくなる可能性があります。
住宅ローンの残高だけを見て、
「借金は早く減らしたほうがいい」
と考えるのではなく、生活を守るための現金をどの程度残しておくのかも重要です。
対策⑥ 50代・60代は「定年後の収入」で計算し直す
住宅ローンの返済が特に問題になりやすいのが、定年を迎える前後です。
現役時代には問題なく返済できていても、定年後に収入が下がれば状況は大きく変わります。
たとえば、
現役時代の手取り収入では月10万円の住宅ローンを無理なく払えていたとしても、定年後に収入が大きく減れば、同じ10万円でも負担感はまったく違います。
さらに、
住宅ローン
固定資産税
マンションなら管理費・修繕積立金
住宅の修繕費
光熱費
医療費
日々の生活費
なども必要です。
そのため50代になったら、
「今の収入なら払えるか」ではなく、「定年後の収入でも払えるか」
という視点で一度住宅ローンを計算し直してみることをおすすめします。
住宅ローンが70代まで残る場合は、なおさら重要です。
対策⑦ どうしても難しい場合は「売却」も選択肢として考える
返済条件を変更しても家計の改善が難しい場合には、自宅の売却も選択肢の一つになります。
長年住んできた自宅であれば、
「絶対に手放したくない」
と思うのは当然でしょう。
しかし、自宅を守ることだけを優先した結果、住宅ローンを延滞し続け、生活そのものが立ち行かなくなってしまっては本末転倒です。
売却価格が住宅ローン残高を上回るのであれば、通常の不動産売却によって住宅ローンを完済できる可能性があります。
一方、売却しても住宅ローンを完済できない場合には、金融機関との調整が必要になる「任意売却」などが検討されるケースもあります。
ここまで来ると自分だけで判断するのは難しくなります。
金融機関、不動産会社、必要に応じて弁護士などの専門家へ早めに相談しましょう。
実際に自宅の売却を検討する場合はこちら↓

「リースバック」という方法もあるが慎重に
自宅を売却したあとも、その家を借りて住み続ける「リースバック」という方法もあります。
引っ越さなくてもよいことなどがメリットですが、
「住宅ローンが苦しいならリースバックにすれば解決する」
と簡単に考えるのはおすすめできません。
自宅を売却した後は所有者ではなくなり、毎月の家賃が発生します。
売却価格が一般的な売却方法と比べてどうなのか、家賃はいくらになるのか、何年間住める契約なのか、買い戻しが可能なのかなど、契約内容を十分に確認する必要があります。
住宅ローンの負担から逃れるためにリースバックを利用したのに、その後は家賃の支払いが重くなった――ということでは意味がありません。
複数の選択肢と比較したうえで慎重に判断したい方法です。
「まだ払えている今」が住宅ローンを見直すタイミング
住宅ローンは数十年にわたって返済することも珍しくありません。
その間には、
収入が増えることもあれば減ることもあります。
金利も変わります。
物価も変わります。
家族構成や健康状態、働き方が変わることもあるでしょう。
住宅ローンを契約したときに立てた返済計画が、10年後、20年後にもそのまま通用するとは限りません。
だからこそ大切なのは、
「苦しくなったら考える」のではなく、「少し不安を感じた段階で考える」ことです。
毎月きちんと返済できているうちなら、選べる方法も多く残されています。
住宅ローンについてもう少し詳しく知りたい方へ
金利や返済方法など、住宅ローンの仕組みを基礎から確認しておきたい方は、住宅ローン関連の書籍で一度整理してみるのも一つの方法です。
まとめ|住宅ローンは一人で抱え込まず、早めに対策を
住宅ローンの金利上昇が心配なときに考えたい7つの対策をまとめると、
- 住宅ローン残高・金利・家計を確認する
- 早めに金融機関へ相談する
- 返済期間や返済条件の変更を検討する
- 借り換えを検討する
- 繰り上げ返済は手元資金を残して考える
- 50代・60代は定年後の収入で計算し直す
- 返済継続が難しければ売却も選択肢として考える
ということになります。
マイホームは大切な財産です。
だからこそ、「何が何でも家だけは守らなければ」と無理をしすぎる必要はないのではないでしょうか。
大切なのは、家だけではなくその家で暮らす自分や家族の生活を守ることです。
住宅ローンの返済に少しでも不安を感じ始めたら、延滞するまで我慢するのではなく、まず現在のローンと家計を確認してみましょう。
そして自分だけでは判断できない場合は、住宅ローンを借りている金融機関などに早めに相談することが大切です。
住宅ローンは長い付き合いになります。
金利や収入などの状況が変わったときには、その都度返済計画も見直していきましょう。
※この記事は住宅ローンに関する一般的な情報を紹介するものであり、特定の金融商品や返済方法を推奨するものではありません。利用できる返済条件の変更や制度は、金融機関・契約内容・個人の状況などによって異なります。具体的な判断については、利用中の金融機関や専門家へご相談ください。
※不動産を活用した資金調達という選択肢も
住宅ローンとは別に、不動産を担保として融資を受ける「不動産担保ローン」という方法もあります。
ただし、新たな借入となるため、住宅ローンの返済が苦しいからという理由だけで安易に利用するものではありません。金利や返済総額、契約条件、返済できなかった場合のリスクなどを十分に確認したうえで検討することが大切です。


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