賃貸マンションやアパートを借りるとき、意外と大きな出費になるのが「仲介手数料」です。
気に入った部屋が見つかり、いよいよ契約という段階になって、
「仲介手数料ってこんなにかかるの?」
「家賃1か月分と言われたけれど、これって普通なの?」
「仲介手数料0.5か月や無料の物件もあるのに、何が違うの?」
と疑問に思ったことがある方もいるのではないでしょうか。
たとえば家賃7万円の部屋なら、「家賃1か月分+消費税」に相当する仲介手数料は7万7,000円です。
引っ越しでは敷金・礼金や前家賃、保証料、火災保険料なども必要になることがありますから、7万7,000円の違いは決して小さくありません。
そこで今回は、宅建の難しい話は抜きにして、部屋を借りる側が知っておきたいところだけ、仲介手数料の仕組みをわかりやすく解説します。
※この記事は2026年8月時点の制度・情報をもとにしています。
そもそも賃貸の「仲介手数料」とは?
仲介手数料とは、不動産会社に部屋探しや契約の仲介をしてもらい、賃貸借契約が成立したときに支払う報酬のことです。
不動産会社は単に物件を紹介するだけではありません。
物件情報の提供、内見の手配、貸主側との連絡や条件調整、契約に必要な手続きなど、入居までのさまざまな業務を行っています。
その仲介業務に対して支払われるのが仲介手数料です。
基本的には契約成立に対する「成功報酬」という性格があります。国土交通省の案内でも、賃貸借契約が成立した場合に、事前に合意した内容に基づいて仲介手数料を支払う仕組みが説明されています。
賃貸の仲介手数料はいくら?
ここが一番気になるところでしょう。
賃貸借の仲介について、不動産会社が貸主と借主の双方から受け取れる仲介手数料は、合計で「賃料1か月分×1.1以内」が原則的な上限です。
「1.1」となっているのは消費税10%を含めた金額だからです。
つまり家賃別に計算すると、次のようになります。
| 月額家賃 | 家賃1か月分+消費税 |
|---|---|
| 5万円 | 5万5,000円 |
| 6万円 | 6万6,000円 |
| 7万円 | 7万7,000円 |
| 8万円 | 8万8,000円 |
| 10万円 | 11万円 |
ただし、ここで大切なのは、「家賃1か月分+消費税を必ず借主が支払う」という意味ではないことです。
「仲介手数料は原則0.5か月分」と聞いたけれど本当?
仲介手数料について調べると、
「借主が払うのは原則0.5か月分」
という話を見かけることがあります。
これは大切なポイントです。
居住用建物の賃貸仲介の場合、不動産会社が貸主または借主の一方から受け取れる仲介手数料は、原則として賃料0.55か月分以内(税込)です。
貸主0.55か月分+借主0.55か月分なら、合計1.1か月分となります。
ただし、仲介を依頼する際に依頼者から承諾を得ている場合は、一方から0.55か月分を超えて受け取ることもできます。その場合でも、貸主・借主から受け取る仲介手数料の合計は原則として賃料1.1か月分以内です。
たとえば家賃8万円なら、
0.55か月分 → 4万4,000円
1.1か月分 → 8万8,000円
となります。
この違いは大きいですよね。
そのため、部屋を借りるときには「仲介手数料はいくらですか?」と事前に確認しておくことが大切です。
では「仲介手数料1か月分」は高いの?
「1か月分も取られるなんて高すぎる!」
と思うかもしれません。
しかし、1か月分だから直ちに違法というわけではありません。
前述したように、借主が承諾している場合には、全体の上限の範囲内で借主側の負担を大きくすることができます。
実際、国土交通省の「令和5年度住宅市場動向調査」では、民間賃貸住宅で仲介手数料があった世帯について、仲介手数料の月数は「1か月ちょうど」が70.3%と最も多くなっています。
したがって、「家賃1か月分」という設定自体は珍しいものではありません。
ただし、
「一般的だから、そのまま払えばいい」
と考える必要もありません。
部屋を申し込む前に、仲介手数料が0.5か月なのか、1か月なのか、無料なのかを確認して比較することは十分可能です。
仲介手数料が「半額」の不動産会社があるのはなぜ?
最近では、
「仲介手数料0.5か月!」
「仲介手数料半額!」
といった広告もよく見かけます。
これも決して不思議なことではありません。
法律で決められているのは基本的に受け取ることのできる上限であり、「必ず上限まで受け取らなければならない」という決まりではないからです。
そのため、不動産会社が借主側の仲介手数料を低く設定することは可能です。
部屋を探す側からすると、同じような条件の物件なら仲介手数料が安いほうが初期費用を抑えられます。
特に家賃が高くなるほど、0.5か月分の差でも大きくなります。
賃貸の重要事項説明書とは?こちらもご参考に ↓

仲介手数料「無料」の物件は怪しくないの?
仲介手数料無料と聞くと、
「不動産会社はどうやって利益を出しているの?」
と疑問に思う方もいるでしょう。
仲介手数料が無料だからといって、それだけで怪しい物件というわけではありません。
たとえば、借主ではなく貸主側が仲介に関する費用を負担しているケースなどがあります。また、不動産会社や契約形態によって収益の仕組みは異なります。
実際に、借主の仲介手数料が無料または半額となる物件も存在します。
ただし、「仲介手数料無料」という言葉だけで決めないことも大切です。
仲介手数料無料なら必ずお得とは限らない
ここはぜひ覚えておきたいところです。
部屋を借りるときに必要なお金は、仲介手数料だけではありません。
物件によっては、
- 敷金
- 礼金
- 前家賃
- 保証会社の保証料
- 火災保険料
- 鍵交換費用
- クリーニング費用
- その他の契約時費用
などが必要になる場合があります。
そのため、
A物件:仲介手数料7万円
B物件:仲介手数料0円
だったとしても、必ずB物件の初期費用総額が7万円安いとは限りません。
仲介手数料だけを見るのではなく、「入居するまでに総額でいくら必要なのか」を確認することが大切です。
「家賃7万円」なら仲介手数料はいくらになる?
具体例で考えてみましょう。
家賃7万円の居住用賃貸物件を借りるとします。
借主が負担する仲介手数料が税込0.55か月分なら、
70,000円×0.55=38,500円
です。
一方、借主の承諾があり、税込1.1か月分を負担する契約なら、
70,000円×1.1=77,000円
です。
その差は、
38,500円
になります。
家賃7万円の物件でも、仲介手数料の設定によってこれだけ初期費用に違いが出る可能性があります。
「たった0.5か月の違い」と考えず、申し込み前に確認しておきましょう。
仲介手数料は値引き交渉できる?
仲介手数料は法律で「この金額を必ず取らなければならない」と決められているものではありません。
決められているのは上限です。
そのため、仲介手数料について相談してみること自体は可能です。
ただし、必ず値引きしてもらえるわけではありません。
不動産会社の方針や物件、契約条件などによって対応は異なります。
強い口調で、
「法律では0.5か月なんだから安くしてください!」
と迫るより、
「こちらの物件を検討しているのですが、初期費用を少し抑えたいと思っています。仲介手数料について相談することはできますか?」
くらいに聞いてみるほうがよいでしょう。
また、値引きだけにこだわらず、最初から仲介手数料が0.5か月や無料になっている物件を探す方法もあります。
仲介手数料で失敗しないための5つのポイント
部屋を借りるときは、次の5点を確認しておくと安心です。
① 申し込む前に仲介手数料を確認する
「契約するときに聞けばいい」ではなく、できれば物件を申し込む前に確認しましょう。
② 「税込でいくらですか?」と聞く
「0.5か月」「1か月」だけではなく、実際に支払う金額を確認するとわかりやすくなります。
③ 初期費用の見積もりを出してもらう
仲介手数料だけではなく、敷金・礼金・保証料・保険料などを含めた総額を確認します。
④ 仲介手数料無料だけで物件を決めない
無料は魅力的ですが、家賃やその他の初期費用、更新条件なども含めて比較しましょう。
⑤ わからない費用があったら契約前に聞く
見積書に知らない項目があった場合は、「これは何の費用ですか?」と遠慮せず確認しましょう。
国土交通省も、仲介手数料については、トラブル防止のため仲介を依頼する際に上限の範囲内であらかじめ合意しておくことが重要だと案内しています。
仲介手数料についてよくある質問
Q. 仲介手数料は必ず払わなければいけませんか?
必ず借主が支払うとは限りません。
仲介手数料無料の物件もありますし、貸主側が負担するケースもあります。
仲介を利用して契約が成立した場合には、事前に合意した内容に基づいて仲介手数料が発生します。
Q. 家賃1か月分+消費税と言われました。違法ですか?
それだけで違法とはいえません。
居住用建物では、一方から受け取れる仲介手数料は原則0.55か月分以内ですが、仲介の依頼を受ける際に承諾を得ている場合は、貸主・借主合計の上限1.1か月分の範囲で、一方から0.55か月分を超えて受け取ることができます。
Q. 仲介手数料0.5か月の物件はお得ですか?
同じ条件なら初期費用を抑えやすいのは確かです。
ただし、礼金や保証料などその他の費用もあるため、仲介手数料だけでなく初期費用の総額で比較することをおすすめします。
Q. 仲介手数料無料の物件は避けたほうがいいですか?
無料という理由だけで避ける必要はありません。
ただし、なぜ無料なのか、ほかにどのような費用が必要なのかを確認したうえで契約しましょう。
まとめ|仲介手数料は「1か月分だから仕方ない」と決めつけない
賃貸マンションやアパートを借りる際の仲介手数料は、不動産会社に仲介してもらい契約が成立した際に支払う報酬です。
賃貸借の仲介では、貸主・借主双方から受け取る仲介手数料の合計は、原則として賃料1か月分+消費税(賃料の1.1か月分)以内です。
さらに居住用建物の場合、一方から受け取れる金額は原則として税込0.55か月分以内ですが、仲介を依頼する際に承諾している場合は例外があります。
ですから、
「仲介手数料は家賃1か月分と決まっている」
と思い込む必要はありません。
0.5か月の物件もあれば、無料の物件もあります。
大切なのは、仲介手数料だけで不動産会社や物件の良し悪しを判断するのではなく、契約前に金額と内容をきちんと確認し、初期費用全体で比較することです。
部屋探しは、家賃だけでも大きなお金がかかります。
数万円の違いでも、引っ越し代や家具・家電の購入費用を考えると決して小さくありません。
わからない費用があれば遠慮せず不動産会社に確認し、納得したうえで契約するようにしましょう。
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