毎年発表される「地価公示」。
ニュースで「今年も地価が上昇した」と聞いても、
「実際にはどのくらい上がっているの?」
「東京などの大都市だけの話では?」
「北海道の地価はどうなっている?」
と思う方も多いのではないでしょうか。
2026年(令和8年)の地価公示を見ると、非常に興味深い結果が出ています。
全国平均では地価上昇が続いていますが、特に目を引くのが北海道千歳市です。
商業地の地価上昇率では、なんと全国1位・2位・4位を千歳市の地点が占めました。
背景にあるのが、次世代半導体メーカー「ラピダス」の工場進出です。
また、住宅地では長野県白馬村が全国1位となるなど、インバウンドやリゾート需要による地価上昇も目立っています。
今回は国土交通省が発表した「令和8年地価公示」をもとに、2026年の地価がどのように動いているのかを見ていきます。
そもそも「地価公示」とは?
地価公示とは、国土交通省の土地鑑定委員会が毎年公表している土地価格の指標です。
全国の標準地について、不動産鑑定士による鑑定評価をもとに、毎年1月1日時点の1㎡当たりの正常な価格を判定します。
一般の土地取引の目安になるほか、公共事業で土地を取得する際の価格算定などにも利用されています。
そのため、「日本の土地価格が今どう動いているのか」を知るうえで重要な公的データの一つです。
お住まいの地域や気になる場所の地価は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」から検索できます。↓
2026年の地価は全国平均で5年連続上昇
2026年の地価公示では、全国平均で次のような結果となりました。
| 用途 | 2026年の平均変動率 |
|---|---|
| 全用途平均 | +2.8% |
| 住宅地 | +2.1% |
| 商業地 | +4.3% |
全国平均では、全用途・住宅地・商業地のすべてが5年連続で上昇しました。
住宅地の上昇率は前年と同じ+2.1%ですが、商業地は前年の+3.9%から+4.3%へ上昇幅が拡大しています。 「令和8年 地価公示の国交省資料」
つまり、「全国どこでも同じように土地が値上がりしている」という意味ではありませんが、日本全体で見ると地価の上昇傾向が続いていることになります。
そして個別の地域を見ていくと、全国平均とは比較にならないほど大きく上昇している場所があります。
住宅地の地価上昇率全国1位は長野県白馬村
2026年の住宅地で、全国トップの上昇率となったのが長野県白馬村です。
白馬村「白馬-1」
- 2026年公示価格:1㎡当たり2万7,400円
- 前年比:+33.0%
- 住宅地上昇率:全国1位
さらに全国2位は北海道富良野市で、上昇率は+30.0%。3位には長野県野沢温泉村の+22.3%が入りました。 「令和8年 地価公示の国交省資料」
白馬、富良野、野沢温泉。
この地名を並べると、共通点が見えてきます。
いずれも国内外の観光客から人気の高い観光・リゾート地域です。
国土交通省も、こうしたリゾート地・別荘地では国内需要に加え、インバウンド需要などを背景として地価上昇が続いているとしています。 「令和8年 地価公示の国交省資料」
土地購入の流れを詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。 ↓

北海道千歳市では商業地が驚きの+44.1%
そして今回の地価公示で、私が特に注目したのが北海道千歳市です。
2026年の商業地上昇率を見ると、
| 全国順位 | 地点 | 上昇率 |
|---|---|---|
| 1位 | 千歳5-3 | +44.1% |
| 2位 | 千歳5-2 | +38.5% |
| 3位 | 白馬5-1 | +35.2% |
| 4位 | 千歳5-4 | +34.4% |
となっています。
全国1位だけではありません。
全国上位4地点のうち、3地点が北海道千歳市なのです。 「令和8年 地価公示の国交省資料」
+44.1%という数字は、全国平均の商業地+4.3%と比べても、千歳市で非常に大きな変化が起きていることが分かります。
なぜ千歳市の地価がこれほど上昇したのか?
大きな理由として挙げられているのが、次世代半導体メーカー「ラピダス」の進出です。
ラピダスは千歳市に次世代半導体工場を建設し、先端ロジック半導体の量産を目指しています。
ラピダス進出が発表されて以降、北海道では関連するニュースが頻繁に報じられてきました。
国土交通省の資料を見ると、その影響が実際の不動産市場にも表れていることが分かります。
千歳市ではラピダスの進出を契機として、建設企業や装置メーカーなどの従業員が増え、賃貸マンション、事務所、ホテル、店舗用地などへの需要が非常に旺盛になっていると分析されています。
住宅地についても、駅周辺だけではなく、共同住宅用地などへの需要が堅調です。
つまり一つの巨大プロジェクトが工場用地だけではなく、
人が来る → 住む場所が必要になる → 企業が進出する → オフィスが必要になる → ホテルや店舗の需要も増える
という形で、周辺の不動産市場へ波及していると考えると分かりやすいでしょう。
千歳市の地価上昇は、企業進出が地域の不動産市場を大きく変える一例といえそうです。
札幌など地方四市は「上昇しているが勢いは鈍化」
一方、北海道最大の都市・札幌は少し違った動きをしています。
札幌・仙台・広島・福岡の4都市は、国土交通省の地価公示では「地方四市」として集計されています。
地方四市では住宅地・商業地などの地価上昇そのものは続いているものの、上昇幅は縮小しています。
住宅地については、地方四市の上昇幅縮小が3年連続となりました。
これまで大きく上昇してきた反動もあり、地価上昇の勢いが少し落ち着いてきたと見ることができます。
北海道では外国人による土地取得も話題に
私は札幌にたびたび行く機会がありますが、中心部を歩いていると、外国人観光客を見かける機会が非常に増えたと感じます。
また北海道では「外国人による土地購入が増えている」といった話を耳にすることもあります。
ちょうど2026年9月15日、国土交通省から外国人・外国法人による大規模な土地取得について、初めての集計結果が公表されました。 国土交通省「外国人・外国法人による大規模な土地取得の状況について」
2025年7~12月に国土利用計画法に基づいて届け出られた9,573件のうち、外国人・外国法人による土地取得は68件。全体の0.7%でした。取得面積で見ても124haで、全体の0.5%です。
国・地域別では中国が28件で最も多く、香港と米国がそれぞれ7件で続きました。
都道府県別では、北海道が19件・約58haで全国最多でした。北海道新聞によると、市町村別では倶知安町とニセコ町がそれぞれ4件で最も多く、道内19件のうち資産保有・転売目的が12件を占めています。
ニセコなど北海道の観光地では海外からの不動産需要が以前から注目されています。ただし、今回の調査対象となった外国人・外国法人による取得は、全国の大規模土地取引の件数で0.7%、面積で0.5%です。「外国人による土地取得が地価上昇の原因」と、この数字だけから結論づけることはできません。
一方で、北海道が19件で全国最多だったことも事実です。
特にニセコなど海外からの人気が高い地域では、インバウンドや海外からの不動産需要も含め、今後の土地取引の動きを継続して見ていく必要がありそうです。
※今回の集計は、国土利用計画法に基づく一定規模以上の土地取引が対象であり、外国人による不動産取得全体を示すものではありません。
不動産の売却をお考えの方。売却の流れについてはこちらをご参考に ↓

東京だけではない――2026年の地価上昇から見えるもの
今回の地価公示で興味深いのは、地価上昇の上位が東京だけではないことです。
住宅地全国1位は長野県白馬村。
2位は北海道富良野市。
商業地全国1位と2位は北海道千歳市です。
一方、東京都心でも非常に高い上昇が続いています。
つまり2026年の地価上昇には、一つの理由だけでは説明できない複数の動きがあります。
大都市では住宅需要や再開発、観光地ではインバウンドやリゾート需要、千歳ではラピダスという大規模企業進出。
「人口が多いから土地が上がる」という単純な時代ではなく、地域ごとの事情が地価に大きく表れるようになっていることが、今回の地価公示から見えてきます。
地価上昇は私たちの生活にも無関係ではない
「土地を持っていないから地価は関係ない」と思う方もいるかもしれません。
しかし地価の上昇は、住宅購入価格だけの問題ではありません。
土地価格が上昇すれば、新築マンションや戸建住宅の価格にも影響します。また、賃貸住宅を建てるための土地や建築費などが上昇すれば、長期的には家賃にも影響する可能性があります。
特に千歳市のように短期間で人や企業が集まる地域では、住宅需要そのものが急激に変化することがあります。
これから家を買う人だけでなく、賃貸住宅を探す人にとっても、地域の地価動向を知っておく意味はあるでしょう。
まとめ|2026年の地価は「全国平均」だけでは見えてこない
2026年の地価公示では、全国平均で全用途+2.8%、住宅地+2.1%、商業地+4.3%となり、地価上昇が続きました。
しかし、今回のデータでより興味深いのは地域ごとの差です。
白馬村では観光・リゾート需要などを背景に住宅地が全国トップクラスの上昇を記録し、千歳市ではラピダス進出を背景として商業地が最大44.1%上昇しました。
その一方で、札幌を含む地方四市では地価上昇は続いているものの、その勢いは鈍化しています。
「日本の地価が上がっている」という一言だけでは、現在の不動産市場は説明できません。
どこで上がっているのか。
そして、なぜその土地が上がっているのか。
国土交通省の地価公示を地域ごとに見ていくと、日本の街がどのように変化しているのかまで見えてきます。
【最新情報】2026年9月発表の基準地価でも上昇続く
ここまで紹介してきた「地価公示」は、2026年1月1日時点の土地価格を調査したものです。
その後、国土交通省は2026年9月15日、7月1日時点の土地価格を調べた「都道府県地価調査(基準地価)」を発表しました。
最新の調査でも地価の上昇傾向は続いています。
全国平均では、全用途平均が前年比+1.5%、住宅地が+1.0%、商業地が+2.9%となり、いずれも5年連続の上昇となりました。
地価公示と基準地価は調査地点などが異なるため、単純に数字を比較することはできません。しかし、1月1日時点の地価公示に続き、7月1日時点の基準地価でも全国的な上昇傾向が確認されたことになります。
一方、地域によって状況は大きく異なります。
東京圏と大阪圏では地価の上昇幅が拡大した一方、名古屋圏では上昇幅が縮小しました。
また、札幌・仙台・広島・福岡の「地方四市」では、全用途平均・住宅地・商業地のすべてで地価上昇が続いているものの、上昇幅は縮小しています。
つまり最新の基準地価からも、
「全国平均では上昇しているが、すべての地域が同じ勢いで上がっているわけではない」
という状況が見えてきます。
千歳市のように半導体工場の進出によって大きく地価が上昇する地域、インバウンド需要が強い観光地、住宅需要の強い大都市圏がある一方、地価上昇が鈍化している地域もあります。
「全国平均が上がった」という数字だけを見るのではなく、その地域で何が起きているのかを見ることが、これまで以上に重要になっていると感じます。


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