環境が変わるたびに、気持ちが大きく揺れてしまう。そんな自分に戸惑ったことはありませんか。私もそのひとりです。人より不安が強く、変化にうまくなじめないまま、コロナ病棟での勤務が始まりました。この記事では、そんな私が不安を抱えながら3年間働いた実体験を通して、同じようにしんどさを抱える方に、あなただけじゃないと伝えたいと思います。
転職が決まった。
転勤することになった。
部署異動で周囲の人が変わる。
そんな環境の変化を前にして、楽しみよりも「憂鬱だ」「不安だ」という気持ちが強くなる人もいるのではないかと思います。
「失敗して周囲に迷惑をかけないだろうか…」
まだ何も起きていないのに、悪い方向へ悪い方向へと考えてしまう。
私自身もまさにそういうタイプです。
私はもともと環境の変化が苦手で、新しい仕事や人間関係を前にすると必要以上に緊張してしまいます。
そんな私が2020年5月から2023年3月までの3年間、コロナ禍の総合病院で看護補助の仕事をしていました。
特に最初の2年間は新型コロナウイルスの感染拡大が続いていた時期です。
病院内でクラスターが発生することも、度々ありました。
今回は、そんな緊張感のある職場で働いた私自身の経験から、転職や転勤、部署異動など環境が変わると憂鬱になってしまう人に向けて、私がどのように不安と付き合ってきたのかを書いてみたいと思います。
※この記事は私自身の体験について書いたものです。医学的な診断や治療方法を解説するものではありません。
環境が変わる前から不安になってしまう
私は昔から、環境の変化が得意ではありません。
新しい職場、新しい仕事、新しい人間関係。
こうした状況になると、実際に何か問題が起きる前からあれこれ考えてしまいます。
特に私の場合、つらいのは仕事をしている時間より、仕事が始まる前です。
前日の夜になると、
「明日は大丈夫だろうか」
「何か失敗しないだろうか」
「誰かに迷惑をかけないだろうか」
と考えてしまう。
そして翌朝になると、また同じことを考えます。
まだ職場にも行っていないのに、頭の中では仕事が始まっているようなものです。
一方、実際に仕事が始まると私は目の前の作業に集中するタイプなので、むしろ多少は楽になります。
今振り返ると、現実に起きていることより、まだ起きていないことを想像している時間のほうが苦しかったのだと思います。
コロナ禍に初めての医療現場で働くことになった
2020年5月、私は知人から「人手が足りない」と紹介され、総合病院で看護補助としてパート勤務することになりました。
それまで医療関係の仕事をした経験はありません。
病院には内科、消化器内科、循環器内科、呼吸器内科、外科等々多くの診療科があり、職員も約400人という規模でした。
私にとっては何もかもが初めてです。
しかも働き始めたのは、まさに新型コロナウイルスの感染が社会全体に広がっていった時期でした。
今まで経験したことのない仕事。
今まで経験したことのない職種の人たち。
そして、世の中そのものが新型コロナという未知のものに直面していました。
環境の変化が苦手な私にとっては、かなり大きな挑戦だったと思います。
私の仕事は病院の2階から4階までを消毒すること
当時、私が担当していた仕事の中心が院内の消毒作業でした。
担当するのは主に2階から4階まで。
入院患者さんの病室以外のさまざまな場所を回りました。
トイレ、職員の休憩スペース、ナースステーション、机、パソコン、廊下、そして多くの人が触れるさまざまな器具。
消毒液をペーパーに浸し、一つ一つ拭いていきます。
終われば次の場所へ移動して、また消毒する。
それを繰り返します。
病院内には当然、多くの患者さんや医療従事者がいます。
新型コロナの感染拡大が続いていた時期ですから、院内には独特の緊張感がありました。
クラスターが発生することもあった
病院内でクラスターが発生することも一度ではありませんでした。
昨日まで普通に仕事をしていた場所でも、状況が変わることがあります。
感染を広げないため、医療現場では多くの人が神経を使っていました。
私が担当していた消毒も、その環境の中で行う仕事の一つでした。
「拭き残してはいけない」
「看護師の邪魔にならないように」
という気持ちは常にありました。
初めて経験する医療現場で、しかもコロナ禍。
今考えてみれば、環境の変化が苦手な私がよく飛び込んだものだと思います。
人が入れ替わるだけでも「環境の変化」になる
しばらく働いていると、看護師さんたちの異動の時期がやってきました。
私自身が部署異動するわけではありません。
それでも、それまで一緒に仕事をしていた人がいなくなり、新しい人が入ってくるだけで職場の雰囲気は変わります。
私にとっては、これも立派な「環境の変化」でした。
ベテランの看護師さんもいます。
中堅の看護師さんもいます。
若い看護師さんもいます。
しかし年齢に関係なく、医療については私よりはるかに経験のある人ばかりです。
私にしてみれば、ほとんど全員が先輩のようなものです。
新しい人が来るたびに、
「どんな人なんだろう」
「迷惑をかけたらどうしよう」
と、また考えてしまいます。
「考えるな」と言われても考えてしまう
こういう話をすると、
「まだ起きてもいないことを考えても仕方ないよ」
と言われることがあります。
まったくその通りです。
私自身、それは十分かっています。
しかし、分かっていることと、考えないでいられることは別です。
「気にするな」
「考えすぎだよ」
と言われて、
「そうか。それでは考えるのをやめよう」
と簡単に切り替えられれば苦労しません。
私の場合、無理に不安を消そうとするより、別の考え方をするほうが楽でした。
私を楽にしてくれた「周囲の人たちも同じだ」という考え
私が新しい環境で不安になったとき、一番助けられた考え方があります。
それが、
「周囲の人たちも同じなんだ」
ということでした。
たとえば別の部署から異動してきた看護師さん。
私より医療の知識も経験もずっと豊富です。
だから私は最初、
「自分だけが分からない」
「自分だけが失敗してはいけない」
という感覚になっていました。
でも、よく考えてみれば、異動してきた看護師さんにとっても新しい環境なのです。
病棟が変われば仕事の流れも違うでしょう。
一緒に働く人も変わります。
若い看護師さんなら、緊張していることもあったでしょう。
人によって個人差はあれど、
「新しい環境に不安を感じているのは、自分だけではないのかもしれない」
そう考えるようになりました。
これだけで、私はずいぶん楽になりました。
自分だけが「評価される側」ではない
新しい職場に入ると、自分だけが周囲から見られているような感覚になることがあります。
「仕事ができるか見られている」
「失敗しないか見られている」
でも実際には、周囲の人もそれぞれ自分の仕事をしています。
誰も一日中、自分のことばかり見ているわけではありません。
そして周囲の人だって、失敗することもあれば悩むこともあります。
そう考えると、
「自分だけが完璧にやらなければならないわけではない」
と思えるようになりました。
仕事が始まってしまえば意外と大丈夫だった
私の場合、これは3年間働いていて何度も感じました。
前日の夜にはあれほど心配していたのに、病院に着いて仕事が始まると意外と大丈夫なのです。
消毒液を準備する。
担当する階へ行く。
ナースステーションを拭く。
机やパソコンを拭く。
廊下やトイレ、さまざまな器具を消毒する。
目の前にやるべきことが次々にあります。
仕事に集中していると、
「明日はどうなるんだろう」
などと考えている暇がありません。
私の場合、不安のピークは仕事中ではなく、前日の夜から出勤するまでだったのです。
このことに気づいてから、
「今は不安だけれど、職場に行って仕事が始まれば、たぶんいつものように体が動く」
と思えるようになりました。
仕事とそれ以外の時間のON・OFFを意識した
もう一つ意識したのが、仕事と私生活をなるべく切り離すことでした。
仕事が終わって家に帰ってからも、
「あれで良かったかな」
「明日はトラブルが起きるので」
と考えていたら、身体は家にいても頭はずっと職場にいることになります。
そこで私は、仕事が終わったらなるべく別のことをするように意識しました。
Youtubeを見る。
音楽を聴く。
好きなことをする。
ゆっくり休む。
完全に仕事のことを忘れるのは無理でした。
それでも、
「今は仕事の時間ではない」
と自分の中で区切ることは大切だったと思います。
環境の変化が苦手でも3年間続けることができた
私は2020年5月から2023年3月まで、この病院で働きました。
約3年間です。
振り返れば、特に最初の2年間は新型コロナの感染拡大が続き、病院内でクラスターが発生することもある緊張感の高い時期でした。
それでも続けることができました。
だからといって、私は環境の変化に強くなったわけではありません。
今でも新しい環境に入るとなれば、おそらく不安になるでしょう。
前日の夜になれば、
「大丈夫かな」
と考えると思います。
でも以前とは少し違います。
「またいつものように、まだ起きていないことを考えているな」
と思えるようになったからです。
転職・転勤・部署異動が憂鬱な人へ
転職、転勤、部署異動。
環境が変わることを「新しい挑戦」と楽しめる人もいれば、不安で仕方がない人もいます。
私は後者です。
それでも、初めて経験する医療現場で、コロナ禍という特殊な状況の中、3年間仕事を続けることができました。
私自身の経験から感じたことを挙げるなら、
- 不安を感じているのは自分だけとは限らない
- 最初から完璧に仕事ができなくてもいい
- まだ起きていない失敗を頭の中で何度も繰り返さない
- 仕事が始まれば、目の前のことに集中できる場合もある
- 仕事が終わったら、できるだけ自分の時間に戻る
- 環境に慣れるまで時間がかかる自分を責めない
ということでしょうか。
「考えないようにしよう」と思っても、考えてしまう人はいます。
だったら無理に「何も気にしない人」にならなくてもいいのではないでしょうか。
うつ病は、早めに不調のサインに気づき、必要に応じて専門家へ相談することが大切です。こちらではうつ病の初期症状について詳しく解説しています。 ↓

環境の変化に強い人になる必要はない
私がコロナ禍の病院で働いた3年間を振り返って、今一番思うことがあります。
環境の変化に強い人になる必要はない。
環境の変化が苦手なら、自分が少しでも楽になれる方法を見つければいい。
環境の変化に弱い。裏を返せば、
- 慎重さがある
すぐ飛びつかず、よく考えて動く。 - 変化に敏感
小さな違和感や空気の変化に気づきやすい。
ということでもあるように思います。
転職や転勤、部署異動を控え、まだ始まってもいない仕事のことを考えて憂鬱になっている方もいるでしょう。
今頭の中で想像していることが、そのまま現実になるとは限りません。
私自身、前日の夜には散々心配していたのに、翌日仕事が始まれば、いつものように消毒液を持って病院の中を歩き回っていました。
それを一日ずつ繰り返して、気がつけば3年間です。
環境に慣れる早さは、人それぞれです。
無理に強い人になろうとせず、まずは今日一日を乗り切る。
私はそれでいいと思っています。
■こちらでは働く方々のメンタルヘルス不調等の相談にも対応しています。
厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策」
※この記事は筆者自身の就労経験や感じ方を紹介したもので、医学的な診断・治療方法を説明するものではありません。不安や気分の落ち込みなどが強く続き、仕事や日常生活に支障が出ている場合には、医療機関などの専門家に相談することも大切です。


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